「一帯一路」構想を支える5つの輸送ハブ

2019年07月03日(水) 19:40:34

「未来がやってくる、一帯一路でやってくる」中国の国営新聞、中国日報(チャイナ・デイリー)のミュージックビデオに合わせて、子供たちの元気の良い歌声が響きます。

「未来がやってくる、一帯一路でやってくる(The future’s coming now, the Belt and Road is how)」中国の国営新聞、中国日報(チャイナ・デイリー)のミュージックビデオに合わせて、子供たちの元気の良い歌声が響きます。

世界貿易の未来をうたい、数十億ドル規模の貿易やインフラ投資プロジェクトを進める壮大な構想は、参加各国の投資が本格化して建設作業も始まり、実現に向けて順調な進展を見せています。

2013年に発表された「一帯一路(Belt and Road Initiative)構想(BRI)」は、アジアからヨーロッパを通じ、65カ国に及ぶ経済回廊をつなぐネットワークを構築しようとするもので、世界人口の62%、世界全体の国内総生産(GDP)の30%を占めることになります。

陸路で中国から欧州につながるルート(一路)と、中国から東南アジアや南アジアへのびるルート(一帯)に加えて、中国から欧州、アフリカまで伸びる海運ルートに沿って新たに建設される港湾をつなぐことで、BRIはアジア、欧州、アフリカの一部を含めた無数の市場を結ぶことになります。

BRIの原動力の基盤となるのが交通です。

ユーラシア大陸の物流を支える大動脈として鉄道が再び脚光を浴びる一方、BRIに沿って空輸や道路輸送の整備も進み、新たに中国西部から中央アジアや中東地域に通じる総延長数千キロメートルに及ぶ高速道路や数十もの空港が建設されています。これらが一体となって新しいマルチモーダルなシッピングプラットフォームの基盤を形成し、サプライチェーンの破壊的革新を進め、拠点間の製品の移動のあり方を根本的に変えようとしています。ここではモノの移動方法を変え、ユーラシア大陸全域の物流のあり方を変えるカギとなっている、BRIに沿った5カ所のマルチモーダルな輸送ハブを紹介します。

1. コルガス(カザフスタン)

コルガスは5年前まで存在しない都市でした。当時はカザフスタンと中国の国境ステーション近くに広大な砂丘が広がり、雪を頂いた山々が点在するだけの場所でした。

単に辺鄙な場所というだけでなく、ここはユーラシア大陸の最も奥深くの「到達不可能な場所」、つまり陸上で最も海から遠い場所にあり、この場所こそ、かの古代ギリシャの歴史家、ヘロドトスが北風の起源として、鷲の頭と翼、獅子の胴体を持つ不思議な生き物の棲む神秘的な土地と呼んだほどの場所だったのです。

コルガスがHorgos(ホルゴス)と呼ばれていた時代、この土地は古代シルクロードの重要な拠点として栄えたものの、この交易ルートの衰退と共に、都市もまた滅びました。

2013年に中国が「一帯一路構想」を発表したことを受け、カザフスタンは2014年に打ち出したNurly Zhol(光明の道)政策に沿って道路、鉄道、港湾のインフラの近代化に90億ドル(80.3億ユーロ)を投入し、コルガスに新たな息吹を吹き込みました。砂から掘り起こされて新たな意義を注入された都市は、この2つのイニシアチブのいずれにとっても不可欠な拠点になったのです。

中国とカザフスタンの国境側には新たに大規模な物流拠点、コルガス市内には産業区域と居住区域が建設され、国境沿いに2国間のフリー貿易ゾーンが伸びています。その背景にあるのは、かつてのシルクロードの栄華を復活させようという思いです。

コルガスはほんの数年で、国や市場、人々の間の通商の要所として再び確立されました。コルガスは北にロシア、南にパキスタンやインド、東に中国、西にはコーカサス、トルコ、さらには欧州と、いずれも21世紀初めから台頭してきた豊富な市場が控えています。

カザフスタンのコルガスには5,740ヘクタールに及ぶ経済特区が設けられ、ここにドライ・ポートのコルガスゲートウェイがあります。鉄道貨物の載せ替えターミナルを含めたこの複合施設は、2015年秋に初めての列車が到着して以降、2017年には3台のガントリークレーンの下、20フィートコンテナ換算(TEU)で年間10万個の積み荷の上げ下ろしが行われるまでになりました。

今やコルガスゲートウェイはカザフスタンのトランスユーラシアネットワークにおける主要通商拠点となり、中国の成都、蘇州、鄭州、欧州のデュイスブルグ、ワルシャワ、ハンブルグと並び建つようになっています。
コルガスの復興の兆しを確かなものにしたのが、先頃、中国の中国遠洋運輸集団(COSCO Shipping)と連雲港市がドライ・ポートの施設の49%を取得したことです。これによって、さまざまな企業からコルガス・イースタンゲート特別経済区への投資を続々と呼び込んでいます。

2. マワシェビチェ(ポーランド)

ポーランドとベラルーシの国境に位置し、EUと中央アジアとロシアにまたがるCIS(独立国家共同体)が接する場所にあるマワシェビチェは、コルガスからの貨物を欧州側で引き受ける役割を担っています。

コルガスで標準軌(1435mm)から広軌(1520mm)の鉄道路線に積み替えられたコンテナは、マワシェビチェで再び標準軌の貨車に積み替えられ、欧州各地へ向けて輸送されます。

マワシェビチェのメインターミナルはポーランド政府の管轄下にある鉄道輸送会社PKPカーゴによって運営されています。他にもEuroport、DHLがそれぞれ運営する2つの民間の国際ターミナルがあり、取扱貨物量を拡大させています。コルガス同様、中国と欧州の間の軌間変更に伴う鉄道貨物の積み替えのための物流拠点となったことが、マワシェビチェの経済を幅広く拡大させました。

PKPカーゴのターミナルの近くには40ヘクタールに及ぶ関税免除の自由貿易地域が設立され、製造業や物流関連のさまざま企業が入ったフリーゾーンはすでに始動しています。

さらに工場群やドライ・ポート以外にも、マワシェビチェ近郊のコビラニで新都市の建設も進んでおり、ここで3万人分の住居を提供して、一気に拡大の様相を見せるこの地域の運輸・経済を支えようとしています。

3. 成都(中国)

中国西部地域の開発を推進する中央政府の戦略を背景に、中国南西部に位置する四川省の省都、成都はBRIの主要物流拠点として、目覚ましい発展を遂げてきました。

成都はこの10年間、安い土地と低賃金の労働力、天府新区をはじめ国の主導で進められた「新区」開発事業を背景に、先端産業の集積地として急速に注目されるようになりました。

現在、成都にはIntel、IBM、GE、Microsoft、Siemens、Volkswagenといったフォーチュン・グローバル500にランクされる企業が軒並み進出しており、中国におけるハイテク研究開発の主要拠点の1つにもなっています。さらに、「一帯一路」構想全体の中でも主要拠点に位置付けられており、2022年に1,630億ドルを投じた新たな産業集積地が完成すれば、その重要性は一層高まることが予想されます。

こうした多国籍企業が中国の東部沿岸地域の都市から西部の成都に移転するにあたり、新たに直面したのが物流面での問題でした。欧州へ製品を輸送するにあたって、港のある海岸部から1,700kmも離れているという成都の立地は明らかに問題でした。

この問題に取り組むため、成都は2013年に欧州との国際定期貨物列車の運行を開始し、ポーランドのウッチと成都をつないで、製品をわずか10日間で輸送できるようになりました。その後、2014年には成都-中央アジア高速鉄道が開通したほか、2018年5月にはDHLとRail Cargo グループとの間で成都の鉄道ネットワークをオーストリアのウィーンまで延長することを合意しました。

その結果、成都は今やアジア最大の鉄道輸送基地になっています。

鉄道だけでなく、成都は航空貨物についても重要なハブになっており、成都双流国際空港は194都市との間で252路線を運航し、年間の貨物取扱量は557,000トンに及ぶなど、貨物量および旅客数で中国中西部最大の空港になっています。2020年に新たに天府国際空港が加わることで、航空運輸の面でも一層飛躍を遂げようとしています。

※このニュースレターはDHL「Logistics of Things」が2019年3月28日に英文で発表したものです。DHL「Logistics of Things」は物流がビジネスにどのように影響を与え、持続的なつながりを築き、イノベーションを推進するかについて紹介しているDHLのWEBサイトです。 https://logisticsofthings.dhl/

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プレスリリース(PDF): http://www.acnnewswire.com/clientreports/598/JP_DHLfinal_NewsLetter.pdf

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