岐阜大学 音響により農産物や食品の体積を瞬時に計測する技術を開発・実用化

2015年07月31日(金) 11:33:14

国立大学法人 岐阜大学応用生物科学部 食品加工学研究室 西津教授は,ヘルムホルツ共鳴を利用し、農産物や食品の体積を非破壊的かつ瞬時に計測する技術を確立し,実用化。

2015年7月31日
国立大学法人 岐阜大学

岐阜大学 音響により農産物や食品の体積を
瞬時に計測する技術を開発・実用化
サクサク感などの 食感の数値化も可能に

国立大学法人 岐阜大学(所在地:岐阜県岐阜市柳戸 学長:森脇久隆)応用生物科学部 食品加工学研究室 西津教授は,ヘルムホルツ共鳴を利用し、農産物や食品の体積を非破壊的かつ瞬時に計測する技術を確立し,実用化。さらにこの技術を組み込んだソフトウェアの開発に成功し,製品化を進めていることをご報告いたします。

■音響共鳴法による体積計測技術について
ヘルムホルツ共鳴とは、開口部を持った容器の内側にある空気がバネとしての役割を果たし、共鳴することで音が発生する現象のことです。瓶の開口部に息を吹きかけると音が出ます。瓶の中に水を入れて内容積を増減させると音が変わることが確認できます。そのような現象をヘルムホルツ共鳴といいます。このヘルムホルツ共鳴を利用することで、内部にある物質の体積を計測することが可能になります。
開発した体積計測技術はヘルムホルツ共鳴を利用し、個別の農産物や食品の体積を瞬時に、かつ非破壊的に計測することができるものになります。体積測定には,アルキメデスの原理による方法がよく知られていますが,液浸法であるため,対象物を濡らすことができない場合は適用できません。レーザー光を用いた体積測定法では,液体に漬ける必要はないものの,スキャンに時間がかかるため,コンベア上を流れる対象物の体積測定には不向きです。開発した方法は,従来法の欠点を補う方法と言えます。


■体積計測技術で可能になること 
農産物や食品の体積を非破壊的かつ瞬時に計測することにより,下記の様な事例での実用化研究を進めて参りました。

●キウイフルーツ密度の全数測定により追熟後最終糖度を個体ごとに予測
キウイフルーツは収穫時期における密度が食べごろの糖度との相関が強くなっているため、収穫時に体積と質量を計測することで密度を把握することにより、糖度の予測が可能になるというものです。高速密度測定装置を開発しました。商品価値に応じた流通や処置が可能になれば、農家にとっては商品価値に応じた価格で出荷する事ができ、流通業者やスーパーなどの販売店にとっては最も甘くなるタイミングで出荷・販売することが可能になります。

●泡状のものを一定の状態で製作可能
製作の過程で体積が変化していく泡状の物体(ホイップクリーム等)の体積を、撹拌しながら計測することができます。連続して計測できるため、適切なタイミングで撹拌を止めることができ、その結果として、一定の泡立ち状態のものを製作することが可能になります。


■音響共鳴法による泡立ち・きめ評価について
パンや天婦羅などの多孔性の食品は、食品内にある孔の大きさ,量,きめなどが「くちどけ感」や「サクサク感」などの食感に影響します。またビールや洗剤の泡のような泡沫では,泡のきめや泡立ち,そして泡持ちが消費者の嗜好性に大きな影響を与えることが知られています。音響共鳴法は,こうした多孔性評価に関する計測も行えるため、企業の商品開発等に役立てることが可能です。
多孔性の食品を計測することで孔の大きさや量を計ることができるため、それに伴って「くちどけ感」や「サクサク感」など、これまでは感覚的なものであった事象を数値化し可視化することが可能になります。


■音響共鳴法測定ソフトウェアの開発と製品化 
以上のような計測が可能なソフトウェアを開発し,現在製品化に取り組んでおります。当ソフトウェアはパソコンで使用するものになりますが、計測には、計測物、内容に合わせたハードウェアが必要になります。実用化にはハードウェアの開発を進めていくことが必要不可欠となります。
また、前述の事例の他にも応用可能な分野は多いと考えており、食品加工業、物流業、小売業などと活用できる内容の検討を重ねていくことが必要と考えております。

ここで紹介してきた体積測定法は専門的な装置であるように思われがちですが、技術的には、スマートフォンやタブレットPCなどの携帯情報端末によるワイヤレス接続による利用も可能であり、簡易なハードウェアとの組み合わせにより、誰でも簡単に利用できる「はかり」にもなり得ます。「重さ」を測る「はかり」なみに、工場、開発現場、試験研究機関だけでなく、家庭のキッチンなどでも使われるごくありふれた装置にしたいと考えています。


■主要論文(参考論文)
1.Nishizu, T., Ikeda, Y., Torikata, Y., Manmoto, S., Umehara, T. and Mizukami, T.: Automatic, Continuous Food Volume Measurement with a Helmholtz Resonator, the CIGR Journal of Scientific Research and Development, 3, FP 01 004, 2001.

2.西津貴久, 鳥潟康雄, 山下智輝, 坂本忠昭, 二谷有香, 中納暁洋: ヘルムホルツ共鳴を利用した液量計測―スピーカインピーダンス法について―. 日本マイクログラビティ応用学会誌, 22(2), 121-127, 2005.

3.西津貴久, 鳥潟康雄, 吉岡宣明, 池田善郎: 音響による農産物・食品体積計測法の耐騒音性向上に関する検討. 農業機械学会誌, 67(3), 49-57, 2005.

4.Nakano, A., Torikata, Y., Yamashita, T. and Nishizu, T., Helmholtz resonance technique for measuring liquid volume under micro-gravity conditions, Microgravity Science and Technology, XVII-3, 65-70, 2005.

5.Nakano, A., Torikata, Y., Yamashita, T., Sakamoto, T., Futaya, Y., Tateno, A. and Nishizu, T.: Liquid volume measurement with a closed Helmholtz resonator under micro-gravity conditions, Cryogenics, 46, 126-131, 2006.

6.Nishizu, T., Torikata, Y., Yamashita, T., Sakamoto, T., Futaya, Y., Tateno, A. and Nakano, A.: Liquid Volume Measurement for Cryogen under Micro-gravity Condition, Microgravity Science and Technology, XVIII-3/4, 190-195, 2006.

7.Nishizu, T. and Kawada, S.: Volume Measurement by using Helmholtz Acoustic Resonance for Porous Produce and Foods — Real-time Measurement of Bread Dough Volume in Fermentation Process –, Key Engineering Materials, Vols. 321-323, 1151-1156, 2006.

8.Nishizu, T. and Nishimura, U.: Evaluation of a whipped cream texture using effective polytropic exponent, 2007 CIGR Section VI International Symposium on Food and Agricultural Products: Processing and Innovations, P/54, 1-12, 2007.


■西津貴久教授 プロフィール
専門:食品工学
研究:食品製造工程のモニタリングとプロセス制御に関する研究.食品物性に関する基礎的研究及び新しい物性評価法の開発
受賞:CIGR ARMAND BLANC賞,日本食品機械工業会(FOOMA)AP賞(共同受賞,2回)


■大学概要
法人名:国立大学法人 岐阜大学  代表者:学長 森脇久隆  所在地:岐阜県岐阜市柳戸 1-1
URL :http://www.gifu-u.ac.jp/

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